鉛レスはんだ 本当の真実
第六回 知らない知識 装置編(その2)

間違いだらけのリフロー炉選び
日時: 2008/07/31
(株)電子実装.com  

今回はリフロー炉です。リフロー炉の加熱原理、加熱構造の問題点(何故温度の均一性が得られないのか)、本当に窒素は有効なのか、さらには炉内が汚れる理由など様々な疑問について考えてみたいと思います。これらの疑問に対する回答から、良いリフロー炉とは何かを感じ取って頂け、より良いリフロー炉の選定にお役に立てば幸いです。

<基本加熱原理「衝突噴流」とは>

現在市販されている熱風式のリフロー炉では、理論的には「衝突噴流」という加熱方式が使用されています。はじめに、この加熱原理について考えてみましょう。


図1に種々の方向から熱風を当てて加熱する方法を示します。垂直加熱は水平加熱と比較し、約1.5倍、衝突噴流加熱では約4倍の加熱能力が得られます。このことから、現在市販のリフロー炉ではこの衝突噴流という加熱方式が採用されています。では、垂直加熱と衝突噴流とは同じ垂直方向からの加熱であるのにも係わらず、どこに違いがあるのでしょうか?衝突噴流による加熱メカニズムについてもう少し詳細に考えて見ましょう。

      

図2に衝突噴流のメカニズムを示します。衝突噴流では、噴出し口から噴出された熱風は、周囲の静止空気との間の摩擦により外側から内側に向かって乱流成分が順次増加していきながら、基板に到達します。このように噴出し時の垂直成分と乱流成分が混ざり合った流れとなって基板を加熱します。この乱流成分が含まれていることが、垂直加熱との大きな違いです。しかし、噴出し口での熱風の速度が大きすぎるか、基板と噴出し口との距離が短い場合は、乱流成分が充分発達する前に、熱風が基板に到達してしまうため、基板に到達した熱風には左の図に示すように、垂直成分が多く含まれ乱流成分が少なく、加熱能力が少なくなります。また、噴出し口での熱風の速度が小さすぎるか、基板と噴出し口との距離が長い場合は、熱風が基板に到達する前に乱流成分だけになり、右の図に示すように熱風が拡散してしまい加熱能力は少なくなってしまいます。このように衝突噴流では、熱風の噴出し速度と噴出し口と基板との距離さらには噴出し口の大きさなどには、最適値が存在します。図2の真ん中の図に示したものが、最適状態になります。

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