アウトソーシング利用の決断:やりますか? それとも やめときますか?
日時: 2008/05/30
編集: EMSOne    
複数の企業様から、アウトソーシングについて様々なご相談をいただいていますが、今回は同じ製品を自社内で生産した場合と、外部委託した場合の典型的な例について説明いたします。
以下は、同等製品を作っている2社の比較モデルです。①は自社で生産を行っている企業、②は外部での委託生産による商品調達を行っている企業をモデル化しています。両社ともに変動費(Variable cost = VC)、 収益(Revenue = R)は同等条件の下での比較です。
図2の例では自社内での生産によって発生する間接諸経費が含まれていません。それによって、図1と比較して低い固定資産および総経費での事業遂行が可能となっています。 VC(変動費) + FC(固定費) = TC(総コスト)

中国、インド或いはその他の地域においてアウトソーシングを活用している企業は、そうでない企業に比べ一般的に: それぞれ高い投資回収率、自己資本利益率、総資産利益率を達成しています。加えてアウトソーシングを活用している企業はそうでない企業と比べ損益分岐点がより低い収益、少ない台数の下での達成が可能であると見て取れます。

残念ながら、多くの日系企業は未だにEMS/ODMを利用していないのが実情です。先ずは社内でよく検討することから初め、その結果、アウトソーシングを利用するのであれば出来るだけ早く行動に移ることをお勧めします。

ここで質問です:

- グローバルでの競争・市場拡大が必要な今、自社内で全て構築する余裕があるか?
- 他社と比べて圧倒的強みがあるか?
- 将来にわたって自社のビジネスはリーダーとして君臨し続けられるか?


もし、上記質問のうちひとつでも‘Yes’の答えがあるのでしたら、戦略的理由からアウトソーシングする必要はありません。(EMSOneのサービスも必要でないでしょう)しかし、そうでないならば、出来るだけ早くアウトソーシングを検討することをお勧めします。

EMS/ODM企業との協力を推し進めていく初めの段階では意思決定プロセスを、そしてすぐにEMS/ODM企業から彼らの製造経験に基づくコスト削減を行うための様々な提案がもたらされることと思います。(例えばよりコストの安い代替部品や、製造しやすいように設計変更の提案など)そうした努力なしにはOEMのTTM(Time-to-market)戦略への貢献も出来ませんし、果ては同製品の市場シェアを失うことにもつながりなりかねません。

このような利点があるにもかかわらず多くの企業幹部はアウトソーシングに踏み切れていません。例えばひとつの障害として、企業幹部が生産部隊(アウトソーシング企業を含む)に対し、自社の根幹部分への貢献度を求めているからです。

その他、委託生産に切り替えることによってどれだけ社内の固定資産の削減につながるのか?といった部分のみを判断するメーカー幹部も多く、EMSへの委託生産、或いはODMを利用しての開発等の価値を判断し切れていない部分も多々見受けられます。これ以外にも材料購入において圧倒的な規模の経済を追い求めているEMS企業のサプライチェーンを、あたかも自社のものとして利用出来るというメリットについても考慮する必要があります。 これについては別レポートにて書きたいと思います。
1