鉛レスはんだ 本当の真実
第五回     知らない知識 装置編(その1)

 間違いだらけのフローはんだ付け装置選び
日時: 2008/07/07
(株)電子実装.com  
はんだ材料は従来の SnPb はんだから鉛フリーはんだに大きく変わっています。また、フローはんだ付け用のはんだ材料も、 2007 年度の JEITA の低 Ag はんだを推奨する技術レポート以来大きく変わろうとしています。このように材料が大きく変わっているにも係わらずフローはんだ付け装置はほとんどその構造は変わっていません。何故なのでしょうか?本当に装置を変更する必要はないのでしょうか?決してそうではありません。誤解を恐れずにあえて苦言を呈するなら、材料を理解した人が装置を設計していないのではないでしょうか。ここでは、「間違いだらけのフローはんだ付け装置選び」と多少刺激的なテーマになりましたが、材料から見たフローはんだ付け装置について述べてみたいと思います。
<鉛フリーはんだ用フローはんだ付け装置設計のポイント>

鉛フリーはんだ用のフローはんだ付け装置を設計する場合、最も重要なことは、はんだ材料がSnPbからSnAgCuまたはSnCuのような鉛フリーはんだに変化することによって、何が変化し、その変化を装置にどのように反映させるかを考えることだと思います。具体的には、鉛フリーはんだに変わって変化することは、大きく次の二つの点だと思います。

1)はんだの融点が上昇する。
2)はんだ材料としては酸化しやすくなり、はんだの濡れ性が低下する。
この二つの点がフローはんだ付けに与える影響と装置設計にどのように反映させるべきかについて考えてみたいと思います。

1.はんだの融点が上昇する。
はんだの融点が上昇することによって、何が変化するのでしょうか?実は、フローはんだ付け装置にとって非常に重要な影響があります。
a)基板のスルホールへのはんだ上がりが低下する。





  · 図1を見て頂きたい。まさに、スルホールへはんだが上がろうとしているところです。鉛フリーはんだを使用すると、融点が高い分、はんだをより高い温度に維持しないと、はんだの流動性が低下し、上まで上がらなくなってしまうのです。従って、良好なスルホール上がりを確保するには、はんだが上がりきるまで充分な熱量を供給してやる必要があるわけです。それでは、充分な熱量をスルホール部分に供給するにはどのようにすればよいのか? 次に示す対策が考えられます。
  · 基板を噴流槽にディップする場合、図1に示す浸漬深さを充分確保すること。
  · 予備加熱の段階で充分、基板上面を加熱しておくこと。
  · はんだの上昇速度(濡れ速度)を速くするため、濡れ速度を重視したフラックスを採用するとともに、フラックスをスルホール内に均一に薄く塗布すること。
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