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【産業動向】TSMCが投資家向け説明会 売上高見通し維持 米工場の受注価格値上げ顧客と協議中
2025-04-18 11:18:58
台湾TSMC(台積電)の魏哲家・董事長(会長)兼最高経営責任者(CEO)は2025年4月17日に開いた投資家向け説明会で、米中関税政策の不確実性はあるものの、顧客の需要に変化は見られないとし、前年比24~26%増としていた25年売上高の成長見通しを維持した。


『経済日報』『Aune』等の台湾メディアが同日付で報じた。それによると、TSMCが同日公表した25年第1四半期(1〜3月)決算は、売上高が前期比3.4%減、前年同期比41.6%増の8392億5000万NTドル(1NTドル=約4.4円)、税引後純利益は前期比3.5%減、前年同期比60.3%増の3615億6000万NTドルで第1四半期の最高だった。EPS(1株あたり税引後純利益)は前年同期比60.4%増の13.94NTドル、売上総利益率は58.8%、営業利益率は48.5%、税引後純利益率は43.1%だった。

25年第2四半期(4〜6月)の業績見通しでは、売上高が前期比12.8~13%増の284億~292億米ドルを予想した。1米ドル=32.5NTドル換算で、売上総利益率は同57~59%、営業利益率は47~49%を見込んだ。

投資家向け説明会でTSMCの魏董事長は、関税政策に不確実性やリスクがあるにも関わらず、顧客行動に変化が見られないことから、2025年の通年業績見通しを維持するとし、これは半導体受託製造(ファウンドリ)2.0業界全体の成長を上回る水準だと強調。また、AI(人工知能)需要は引き続き旺盛、その他の市場も緩やかに回復する兆しが見えているとし、今後5年の売上高についても、従来の成長率見通しを維持するとした。

設備投資について魏董事長は、前年から28~41%増の380億~420億米ドル、平均400億米ドルで過去最高になるとの見通しを維持すると述べた。内訳については、先進プロセスが70%、成熟・特殊プロセスが10~20%、先進封止・測定(パッケージ・テスト)及びフォトマスク10~20%だとした。

海外拠点の取り組みについては、日本とドイツでの工場建設計画が継続中で、進行に遅れはないと強調。うち、熊本にある第2工場はインフラ整備状況に合わせて2025年前半に着工予定、ドレスデン工場も計画通り建設中だとした。

米アリゾナでの投資計画については、「第1工場(4 nm)は2024年第4四半期から量産を開始し、歩留まりは台湾工場と同等。第2工場(3 nm)建設完了後、量産を加速中。第3~4工場(2 nm/A16)は許認可後に着工予定。第5~6工場はより先端技術を導入」とした。また、計画の完了後、2nmより先進プロセスの生産能力の約30%を米国が占めるとの見通しを示した。

一方、米国工場での受注価格についてTSMCの黄仁昭・最高財務責任者(CFO)は、「地域分散は顧客にとって価値があること。その価値を価格に反映させる」と説明。現在、顧客との価格協議が順調に進んでいると述べた。

台湾での増産計画について魏董事長は、今後数年で台湾内に11カ所のファブと4カ所の先進封止拠点を新設する予定だとした。2 nmは2025年下半期に量産を開始する予定で、新竹・高雄サイエンスパークで建設を進行中だとした。

米インテル(Intel)のファウンドリ事業をTSMCが合弁で共同運営する計画の有無について魏氏は、「他社と合弁事業、技術ライセンス、技術移転・共有に関する協議は一切行っていない」と強調した。

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