【半導体】TSMC生産能力、2035年になお80%が台湾 米国は6% TrendForceが見通し
2025-03-06 11:50:08
ファウンドリ最大手の台湾TSMC(台積電)は2025年3月4日、米国における先進半導体の投資を1000億米ドル(約15兆円)増やすことを明らかにしたが、これについて、調査会社TrendForceが3月5日付レポートを発表。新たに追加された3つのウェハーファブ建設は、順調に進んだ場合でも量産化段階に移行するのは2030年以降になるとの見方を示した。その上で、2035年時点で、TSMCのファブ生産能力全体に米国拠点の占める比率が6%にまで上昇するが、台湾はなお80%以上の水準を維持すると予想した。
レポートは、世界的な貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響でサプライチェーンの分断が加速したことで、各国政府が自国でのファブ生産能力の確保に注力してきたと指摘。こうした中、2021年時点で、ファウンドリの生産能力は、先進プロセスの71%、成熟プロセスの53%が台湾にあったが、2030年には先進プロセスが58%にまで減少する他、成熟プロセスは30%にまで低下し、米国や中国が比率を増やすとした。
ただレポートは、TSMCが米アリゾナ工場に建設したファウンドリの第1期工場は量産化を開始したばかり、第2期と第3期は建設中で、量産化は2026〜28年、さらに今回追加された新ファブの実際の稼働時期は不透明だと指摘。このため、TSMCの対米追加投資が業界に与える影響は、短期的には少ないことが予想されるが、中長期的にはコスト圧力の転嫁の仕方が注目されるとした。
この他、TSMCの対米投資拡大で、台湾で懸念されている技術流出の問題に付いてレポートは、アリゾナ工場第1〜3期の計画を見る限り、台湾の工場が先行する状況は変わらないとしている。