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【半導体】米、TSMCにインテルとの先進半導体合弁働きかけの情報 台湾識者「関税より不利益」
2025-02-14 11:49:43
台湾の通信社『中央社』は2025年2月13日付で、米トランプ政権が米国内における半導体製造能力強化に向け、台湾TSMC(台積電)に対し米インテル(Intel)との合弁会社設立を提案し進めていることが、米投資銀行Bairdの最新レポートで分かったと報じた。また、これについてシンクタンク台湾経済研究院(台経院)の劉佩真・研究員が13日、中央社に対し、この合弁提案はTSMCにとって、関税による課税よりもひどい最悪の選択になるとし、TSMCは技術流出のリスクに晒されることになるとの考えを示したと伝えた。


中央社が米『ブルームバーグ(Bloomberg)』等の報道として伝えたところによると、レポートでBairdのアナリストTristan Gerra氏は、米国政府がTSMCのエンジニアをインテルの3nm(ナノメートル)・2nm製造施設に派遣し、TSMCのノウハウを提供することで、インテルの製造プロジェクトの実現可能性を確保することを計画していると指摘。また、インテルの製造事業を、TSMCとの合弁に移管し、運営はTSMCが担うことを計画しているとし、この新会社に米国のCHIPS法に基づく補助金を支払うとしている。

中央社によると、この情報についてTSMCの広報担当と台湾経済部(経産省に相当)の担当者は13日、いずれもコメントを拒否した。一方、台経院の劉研究員は、TSMCの先進プロセス技術は世界で最も優れたものだとした上で、TSMCとの合弁設立により、インテルは技術的な困難を解決し、ひいては米国の半導体産業を支援することになるだろうと指摘。ただTSMCから見れば、この合弁に利はなく、技術流出のリスクが懸念されるとした。

劉氏は、TSMCは先進プロセス技術で独自の強みを持つことから、仮に米国が台湾製の半導体チップに関税を課したとしても、価格交渉力のあるTSMCは、関税のコストを顧客に転嫁できると考えられると指摘。このため、TSMCにとってインテルとの合弁は、関税よりも大きな不利益になる恐れがあるとの考えを示した。

さらに劉氏は、TSMCの熊本工場と独ドレスデン工場について、いずれも合弁だが、パートナーは顧客でかつ技術は成熟プロセスだと指摘。これに対してインテルとの合弁は先進プロセスを中心に展開されることから、万が一技術が流出すれば、TSMCの先進プロセスでの優位性を失う恐れがあるとした。

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