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【半導体】TSMC、アリゾナに最先端2nm導入決定か 米で初の取締役会開催で観測 台湾メディア
2025-02-11 12:30:47
台湾の大手紙『聯合報』は2025年2月10日付で、ファウンドリ世界最大手の台湾TSMC(台積電)が同4日、米国時間の2月11日に米アリゾナ工場で取締役会を開催する予定であることを明らかにしたと報じた上で、米国で初の取締役会開催を決めたのは、半導体をはじめとする台湾の製品に関税を課すと警告した米トランプ大統領の意向をくみ、同社が最先端2nm(ナノメートル)製造プロセスの米国導入を前倒しすることを決めたためだとの見方が台湾の市場や業界に出ていると報じた。


聯合報は、TSMCの売上高全体にアップル(Apple)、エヌビディア(NVIDIA)、インテル(Intel)、ブロードコム(Broadcom)、クアルコム(Qualcomm)、AMD等の米国系顧客が占める比率は65%を超えていると指摘。このため、米国が台湾製品に高い関税を課した場合、技術力で競業を圧倒するTSMCは、短期的には顧客に対する値上げで関税の衝撃をある程度緩和することはできるが、長期的には米国系の大口顧客が米インテル(Intel)や韓国サムスン電子(Samsung Electronics)といったTSMCの競業に発注を分散していくのは避けられないとした。

さらに同紙は、大統領選の最中にあった24年半ばにトランプ氏が「台湾が米国の半導体ビジネスを奪った」と度々発言していたことを受け、台湾の一部の学者が、トランプ氏が大統領に当選すれば、就任後、「CHIPS法」関連の補助金を取り消す他、TSMCに対して最先端の2nmプロセスを前倒しで米国に導入、生産するよう圧力をかける可能性があるとの見方を示していたと紹介。その上で台湾のある識者の話として、トランプ氏が大統領就任後にTSMCに対し、米国の半導体製造拠点の強化と向上についての対施策を提示するよう求めた可能性が高いと報じた。

この識者はまた、TSMC自身もアリゾナにおける半導体サプライチェーンの整備を望んでいることから、TSMCではコスト高等多くの課題に直面しながらも、アリゾナ工場にAI(人工知能)分野向けの先端製造技術を導入して、プロセス技術や生産歩留まりを台湾のレベルにまで速やかに近づけることを目指していると述べた。

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