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【産業動向】台湾地震の影響分析 パネルの供給不足進む恐れ 震度5弱の台南にINNOLUX工場集中で
2025-01-22 11:40:24
台湾南部で2025年1月21日0時17分ごろ(日本時間同1時17分)、嘉義県大埔を震源とするマグニチュード6.4の地震が発生、大埔で震度6弱、台南、高雄市で震度5弱を観測したが、調査会社TrendForceは同日付で、台湾のテック産業の被害状況についてのレポートを公表。半導体産業では、ファウンドリの台湾TSMC(台積電)、台湾UMC(聯電)をはじめ、サプライチェーンの生産に与える影響は限定的なものになるとの見方を示した。これに対し、震度5弱の台南に、テレビ(TV)用液晶パネルの主要生産地が集積していることから、今回の地震により、25年第1四半期(1〜3月)のTV用パネル供給がさらにひっ迫する恐れがあるとの見方を示した。


レポートでTrendForceは、地震直後に震度の大きかった地域にあるファウンドリやパネル工場の被害状況と稼働状況を確認したと指摘。その結果、TSMCとUMCの台南工場では震度4以上を観測、従業員が緊急避難した他、設備点検のため稼働を一時停止し、一部の炉管設備に破片が発生する状況が見られたが、設備の大きな損傷は発生しておらず、これら工場は21日午前中に通常稼働を再開しているとし、生産への影響はコントロール可能な範囲内に収まっているとした。

うち、TSMC台南工場については、8インチ工場1つと12インチ工場2つがあり、成熟プロセスや5・4nm(ナノメートル)、3nm等の先進プロセスを採用した半導体製品を生産しているとした。UMCについては、台南に12インチ工場1つを擁し、90~14nmの成熟プロセス半導体を生産しているとした。

その上でTrendForceは、第1四半期は半導体市場の伝統的な閑散期で、ファウンドリの成熟プロセス稼働率は平均70~80%にとどまっていることから、生産ラインの調整余地は十分にあると指摘。先進プロセスについても、顧客の需要は在庫補充に向けたものが主であることから、短期間の稼働停止や少量の破片の影響は容易に挽回可能で、大きな影響は予想されないとした。

一方、パネル業者への影響についてTrendForceは、台南は台湾INNOLUX(群創)の重要な生産拠点であり、Fab2、Fab3、Fab5、Fab6、Fab7が所在、隣接する高雄にはFab8、Fab8b、T6があると紹介。一部の工場は古いことから、今回の地震で一部の設備が停止、損傷状況もなお確認中だとした。その上で、25年第1四半期に入り、TV用パネルは若干、供給がひっ迫しているが、今回の地震による影響で、ひっ迫の度合いが悪化する恐れがあるとの見方を示した。

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