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【半導体】日本と欧州のIDM、「China for China」商機獲得へ中国ファウンドリと積極的に協働 調査会社
2025-01-09 11:52:15
調査会社TrendForceは2025年1月8日付で、「日本と欧州のIDM、『China for China』の商機獲得へ中国系ファウンドリとの協働に積極的」と題するレポートを公表した。中国が、地政学的状況に対応するため、自国の巨大市場を利用して「China for China」のサプライチェーン形成を進めていると指摘。この動きは自動車産業で最も顕著であり、中国政府は自国の自動車メーカーに対し、2025年までに国産チップの採用比率を25%に引き上げることを奨励。同時に、外資系企業には生産の現地化を奨励し、これによりスイスSTマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics)、独インフィニオン(Infineon)、蘭NXPセミコンダクターズ(NXP Semiconductors)、ルネサスエレクトロニクス(Renesas Electronics)いった車載半導体を手掛けるIDM(垂直統合型デバイスメーカー)が、SMIC(中芯国際)やHHGrace(華虹宏力)等の中国系ファウンドリとの協働を積極的に進めているとした。


レポートは、中国系ファウンドリについて、これまではeFlash・eNVMプロセスの開発の遅れや、自動車メーカーの認証プロセスに時間がかかる等の理由で、IDMから車載用MCU(マイクロコントローラ・ユニット)の生産発注の獲得に苦戦していたと紹介。ただここ数年、中国系自動車メーカーが、地政学リスクや生産の現地化の他、低価格モデルの投入を拡大しているのを受け、IDMは車載用半導体のコスト削減を積極的に追求していたと指摘。結果、ODMは、「China for China」戦略と低コストの両方を考慮し、中国系ファウンドリとの協働に積極的だとした。

協働の具体例としては、STマイクロエレクトロニクスがHHGraceと協力し、40nm(ナノメートル)プロセスを採用した産業・車載用MCU製品を開発、2025年末までに量産開始を予定しているとした。また、ルネサスとインフィニオンも2024年から中国系ファウンドリとの交渉を加速しているとした。さらにNXPが先ごろ、中国にサプライチェーンを構築する計画を公表、工場建設の計画はないものの、中国系ファウンドリと生産委託の交渉を進めているとした。

一方でTrendForceは、IDMのグローバル大手が中国系ファウンドリと車載・産業用半導体の協働を積極的に進めているものの、コンシューマ向けよりも厳格な認証基準や自動車メーカーの認証を取得する必要があることから、IDMが「China for China」戦略に基づき製造した半導体が試作段階に入るのは最速でも2025年下半期になると指摘。ただIDMによる「China for China」の動きは2026年にかけてさらに拡大するとの見通しを示した。

この他、中国にウェハーファブを持つ外資系半導体業者についてTrendForceは、製品やサービスを、別の国や地域でも受け入れられるように最適化するローカライズ戦略でコストと技術競争力のバランスを取る必要があると指摘。価格では、中国系との競争が避けられず、大きなプレッシャーと課題に直面するとの見方を示した。

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