TSMCの熊本第1工場について、DIGITIMESの伝えた半導体サプライチェーンは、主要顧客はソニー(Sony)とデンソー(Denso)、主力は22・28nm(ナノメートル)及び12・16nmプロセスを採用したCMOSイメージセンサー(CIS)や車載半導体等で、生産能力は単月5万枚、24年12月から本格的に量産化したと指摘。ただ、自動車市場の需要が拡大しない中、稼働率の向上は遅れており、短期間での改善も難しい状況だと述べた。
さらにこのサプライチェーンは、世界経済が目に見える形での回復を見せない中、自動車産業の需要は2024年に鈍化し、電気自動車(EV)の需要も予想を下回って在庫が増加、価格競争が前倒しで起きていると指摘。これを受け、車載半導体市場も見通しが慎重なものに変わりつつあるとし、ファウンドリや台湾グローバルウェーハズ(GlobalWafers=環球晶)等のシリコンウェハー業者、蘭NXPセミコンダクターズ(NXP Semiconductors)、スイスSTマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics)、独インフィニオン(Infineon)、米TI(テキサスインスツルメンツ)等の車載半導体大手も、戦略の見直しを迫られる恐れがあるとの見方を示した。
また、TSMCの稼働率についてこのサプライチェーンは、5nmより先進プロセスはAI(人工知能)チップ需要に支えられ、フル稼働を維持していると指摘。一方で、7nmより成熟プロセスは、稼働率の回復が遅れているとし、7・6nmは60%、16・12nmは70%、28nmは85%にとどまっているとした。
うち16・12nm以上の成熟プロセスについて、多くの競合がいることから、顧客はコスト効率の良いサプライヤーを選べる状況にあると指摘。競争相手のいない7・6nmプロセスも稼働率が6割にとどまっていることも含め、熊本第2工場が量産化した後、TSMCでは生産能力をいかに調整し、利益率を維持するかが課題になるだろうとした。ただ、熊本工場の問題はTSMCにとってまだ管理可能な問題だとも指摘し、ドイツ工場が米国工場に次ぐ大きな課題になるとの見方を示した。
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