【液晶TV】 日系大手電機メーカー、薄型TV生産の外部委託を加速
2009-11-19 12:18:48
日本経済新聞11月16日の報道によると、日立製作所や東芝など大手電機メーカーが薄型TVの外部生産委託を大幅に加速する模様だ。薄型TVはノートPCなどと同様に単価の下落が激しく、EMS企業(電子機器受託生産サービス)への生産委託を通じてコストの削減や臨機応変な生産体制を構築する。
一連の流れは、これまで日系企業が進めてきた自社生産を軸とした生産方式に大きな転機が訪れていることを明確に表している。日本の家電製造業界は欧米企業と比較して、いち早く中国進出を行い、数多くの生産工場を展開してきた。こうした手法はある意味、世界が「クローズド市場」の段階では大きなメリットとなり得た。現在のようにあらゆる意味での「グローバル化」が発展する以前は、世界市場への販路は資本力と広範な自社ネットワークを有する一部大企業の独断市場であったとも言えるだろう。
日系企業が得意とした中国への自社工場設立と対比するように、欧米企業、特に米系企業は全く異なるベクトルをとり続けてきた。それが現在の電子機器製造の主流となっているEMS或いはそれを更に発展させたODM(Original Design Manufacturer=開発設計から生産まで受託)といわれる手法である。
米国でのEMS産業は既に1990年代前半から広く知られるようになっていたが、現在のように電子機器製造の主流を占め始めるようになったのは、中国経済の台頭と時を同じくしている。この間、EMS業界も大きな変貌を遂げており、欧米資本中心だったEMS業界(例:ソレクトロン、サンミナSCI、セレスティカ、ジェイビル・サーキット等)も、台湾系を中心とする中華資本企業(例:Foxconn、Compal、Wistron、ASUSTek等)による人海戦術的生産手法によってその地位を脅かされているほどだ。
台湾系EMS企業の代表格であり、日本でも名を知られ始めているFoxconnグループの場合、その設立は1974年に現董事長で創設者でもある郭台銘氏が30万NTドル(現在のレートで約85万円)を投じて設立したTV用スイッチの生産会社にさかのぼる。その後、同社の経営は中国経済の発展と共に拡大が続き2001年には台湾民営企業トップに到達、現在の従業員数は全世界で70万人、2010年度の年間売上高は7兆円に達すると見られている。Foxconnグループによる生産は家庭用ゲーム機のPS3、Wii、Xbox 360から、iPhone、ノートPC、通信用設備まで多岐にわたっている。
『世界のノートPC生産、9割以上が台湾系企業』
台湾系EMS或いはODM企業の最も得意とする分野は電子製品の大量生産である。最たるものがノートPCで、2009年の全世界ノートPC生産量に占める台湾系のシェアは92.9%にまで高まると予想されている。
ノートPC産業は、一部製品はメーカーが設計を施すこともあるが、主流はODM企業が開発設計にまで踏み込むケースが多くなっている。そのため、大手ODM企業では関連技術者を1000人単位で保有し、大手顧客(例:Apple、HP、Dellなど)向けに完全に独立した組織体型が形成されている。

『EMS/ODM企業の次なるターゲットは液晶TV生産』
上述のように台湾系EMS/ODM企業はノートPC生産で完全に世界シェアを独占している。こうした企業群が次の主戦場として狙いを定めているのが液晶TV生産事業である。
【ソース:】TRI 【編集者:】Edward