中国白物家電メーカー最大手で、日本市場への進出も行っている
Haier(海爾集団=ハイアールグループ、以下「ハイアール」)は、企業体系の大幅な転換を行う。同社は、「海外企業の買収による事業拡大よりも、製造メーカーからサービス企業に転換することが現在最も重要な課題だ」と表明しており、今後は製品開発とマーケティングをコア業務に位置づけ生産業務を大幅に外部に委託する。現在複数の台湾系EMS(Electronics Manufacturing Services=受託生産企業)やODM(Original Design Manufacturer=設計から生産まで請け負う生産企業)との協議を続けており、中国でも電機・電子業界の事業構造に大きな変化が訪れそうだ。
英【フィナンシャル・タイムズ】は、ハイアール董事長兼最高経営責任者(CEO)張瑞敏氏の見解を引用、「当社は大部分の生産業務から撤退し、コスト削減を進めると共に顧客へのサービス提供を加速することで、より迅速で適確に市場対応出来る体制を創りあげる」とのコメントを掲載し、急速に変化が起こり始めている中国電気業界の実情を報道した。
張瑞敏氏は、「我々の戦略はアウトソーシングを益々拡大するということだ」との考えを表明した。更に、「現在は台湾の受託製造企業と交渉中で、今後は一部分或いは大部分の製造を外部に委託したい。当社は自社製品の開発と販売に特化していく」と、今後の戦略を語っている。
また、白物家電業界の競争について張瑞敏氏は、「その他の製品と異なり、この業界は技術革新によって動向が決まるものではなく、ビジネスモデルによって優越が決定する」と語っている。
こうした流れはこれまでも携帯電話、PCなどで大きく進んできた。多くの中国メーカーが以前は開発から製造、販売までを自社ルートで進めてきたが、世界中の大手メーカーや乱立する国内企業がひしめく市場にあって、全ての流れをインテグレーションすることは資金的にも時間的にも競合に遅れをとることに繋がり、中国企業でさえも生産は台湾系の受託生産企業に委託する流れが大きくなってきている。こうした中、中国最大手の白物家電メーカーであるハイアールが生産を外部に委託するということは、この流れが完全に固まり始めたといえるだろう。
そして大いに注目すべきは、『中国トップメーカーが生産を台湾系企業に対して委託する』、という点だ。これは台湾系のEMS或いはODM企業が既に生産性やコスト管理において世界トップの地位を確たるものとして認められているからに他ならない。
張瑞敏氏は以前、山東省の「青島冷蔵庫工場」のVice Directorを務めていたが、その後‘ブランド戦略’を前面に押し出す「Haier」を設立、開発スピードを重点に「中小企業から大企業へ」、「弱者から強者へ」と企業拡大を続け、24年後の現在は1,180億元の年間売上を誇る中国最大の白物家電メーカーに上り詰めた。その間、中国家電メーカー18社を買収したほか、日本、イタリア、インドなどでも事業買収を行っている。
世界的な金融危機は、ハイアールに更なる海外企業の買収機会をもたらしている。しかし張瑞敏氏は、「値段が唯一の要素ではない。実際に、これまで買収で大きく成長を成し遂げた企業はアジアではほんの僅かに過ぎない」と、M&Aにはあくまでも慎重な姿勢を示している。
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