今回の危機は早くからその兆候が現れていた。Suntech Powerの2008年年初の株価と株式時価総額はそれぞれ90ドルと109億ドルであったが、2008年12月29日の米国NYSE市場での株価は10.69ドル、株式時価総価額は約16億ドルに落ち込んでいる。同社の業績も金融危機発生後に急降下を示し、株式時価総価額は昨年一年間で約100億ドル(80%)減少した。
しかしこうした状況はSuntech Powerだけに限られたことではなく、ソーラーセル産業全体が瀕している問題である。受注量の激減、人員削減、一部製品の生産停止など、秋風が落ち葉を吹き払うように業界全体に吹き荒れている。
「解雇対象の人員はSuntech Power全体の30%前後に及ぶ。既に50%程度の生産ラインが稼働停止状態だ」と、上述の元従業員は述べている。人員削減の手法も様々で、例えば契約満期をもって再雇用契約を行わない、或いは試採用期間終了後に正社員としての契約を結ばない、能力試験を通じ不合格であれば再雇用しない、などの方策が採られているという。
情報によれば今回の人員削減は昨年10月から開始され、毎月の対象者数は数百人単位に上っている。こうしたリストラ策は計画に則って行われており、総数は今月中にも4,000人前後に達すると見られている。
【中国経営報】がSuntech Powerに直接問い合わせたところ、同社広報部責任者の鮑俊氏は「これは人員削減ではなく、“季節的”な調整である。主因は不況に入って以来、当社の主な販売先であるヨーロッパ顧客の太陽エネルギー関連製品販売が低迷し、需要が大幅に減少した。よって、当社も稼働率を上げることが出来ず、現在は以前の50%程度にとどまっている。同様に2006年、2007年の年末時期にも相応の生産調整をしており、中国の大部分の企業が同じように対応している」と述べている。
また同氏は、「数千人の従業員が解雇されたと言うが、‘人員削減’という言い方は適切ではない。正確に言えば‘淘汰’である。毎年一部の従業員の入れ替えを行っており、これは企業運営上、正常な方策だ。当社は優秀な人員を求めている」と語っている。
ソーラーセル市場は雨後の竹の子のごとく増えた新進企業と金融危機、それと材料であるシリコンの供給が潤沢になるにつれ、大幅な値崩れが始まっている。しかし、各国政府がグリーンエネルギーを標榜し始めたことで、中長期的には大きな飛躍が期待されている。金融危機の中、多くの小規模企業が淘汰の荒波に消えると予想されるが、将来的な大市場となるのは間違いないだろう。
【関連ニュース】
【台湾】 結晶シリコンソーラーセル各社、12月収益が大幅下落
【太陽エネルギー】 2008年、薄膜太陽エネルギー分野が最大の投資対象
【台湾】「DELSOLAR」、太陽電池の大口案件受注
【太陽エネルギー】 太陽電池生産高、来年19%減の129億米ドルへ
【太陽エネルギー】 成長が続く産業に翳り、再編・統合によって長期的成長か
【中国】 国内最大の多結晶シリコン生産ライン、洛陽で稼働開始
※EMSOneでは日系企業様に向け、コストダウンに向けた各種アウトソーシングサービスの提案を行っています。EMS或いはODMを通じたコストダウンについて
はこちらをご覧ください。